コラム

自署押印制度 廃止された部分と残る部分

菅政権が誕生してから、押印の廃止が話題になっています。

菅政権誕生以前の2018年税制改正においても、法人税の申告への自署押印制度の廃止がありました。

しかしながら、税理士法には未だ自署押印制度が残っています。

法人税の自署押印制度の廃止

2018年度税制改正により、法人税法の規定からこの自署押印制度の規定が削除され、

代表者名を記名(申告ソフトでの入力やハンコ)で済ませることができるようになりました。

それ以前は法人税の申告書を書面で税務署へ提出する場合、旧来、社長などの法人の代表者が自分の手でサインして、ハンコを押す必要がありました。

自署押印の必要がある場合

上記はあくまで法人税法の話であり、税理士法には自署押印制度が残っています。

法人税の申告書を会社の代理人である税理士が作成して書面で税務署へ提出する場合、税理士の自署押印だけではなく、会社の社長などの代表者の自署押印が税理士法で定められています。

この規定は、2020年12月現在もそのまま残っています。

税理士が法人税の申告書を作成して書面で税務署へ提出する場合には、今後も社長が申告書に手書きでサインして、ハンコを押す必要があります。

例えば、不動産の物件ごとに会社を作っているといったように投資先ごとに法人を作っている社長の場合、数十社、数百社分の手書きのサインとハンコが必要なため大変な手間です。

自署押印しないで済む方法

現実的には、自署押印制度が廃止される前から申告書作成ソフトで印字していたということが多かったようですが、法律通りの処理を行うのであれば「電子申告で代理送信する」という方法があります。

電子申告では、会社の代表者の電子署名の省略が認められており、合法的に税理士の電子署名のみで法人税の申告書を提出できます。

以上、法人税の申告書に関する自署押印制度について説明しました。

今後の税制改正で何らかの変更がある可能性はありますが、上記メリットも考慮して電子申告の導入を検討してはいかがでしょうか。