コラム

外国法人と源泉徴収

日本に支店等がある外国法人に報酬を支払うことになった際、場合によっては源泉徴収が必要です。

どのような場合に源泉徴収が必要なのか、また源泉徴収漏れのペナルティー等について見ていきましょう。

外国法人に支払うコンサルティングフィー

給与はもちろん、弁護士、税理士、司法書士への報酬について、源泉徴収の必要があると認識している事業者の方は多いと思います。

上記に加えて、外国法人にコンサルティングフィーを支払う際、場合によっては源泉徴収が必要です。

所得税法では、非居住者(日本に住所や住んでいる場所がない者)や外国法人に対して、「国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価(例えば、芸能人、弁護士、会計士等又は科学技術、経営管理等の専門知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価)」を支払う場合、その報酬の支払者が源泉徴収をします。

外国法人の日本支店に専門的な知識が必要なコンサルティングを受けて報酬を支払った場合、その支払者が源泉徴収をします。

源泉徴収漏れのペナルティー

結論から申し上げると源泉徴収をしなかった事業者がペナルティーを受けます。

外国法人に対しての場合も例外ではありません。

請求書に源泉徴収税額が記載されていなかったからといって源泉徴収しなかった場合に責任を負うのは、報酬の支払者です。源泉徴収漏れが生じたときには、その報酬の支払者は不納付加算税(税金を納付しなかったときに課される罰金)を支払います。

源泉徴収の免除証明書がある場合

しかしながら、外国法人の外国法人の日本支店に対して毎回源泉徴収をしなければいけないとなると、手間もかかります。

そこで、外国法人の申請に基づき、所轄の税務署長は「源泉徴収の免除証明書」を発行します。この証明書の提示により、報酬の支払者は源泉徴収の義務が免除されます。

日本で支店をおいて活動しているわけですから、ちゃんと日本でも税金を納めていて、税金を逃れるという心配も少ない可能性が高いからだと考えられます。

「源泉徴収の免除証明書」ですが、日本へ進出したばかりの外国法人がもともと知っているなんて言うことは少ないと思います。知らないまま取引を行い、報酬の支払者も源泉徴収が必要であることに気づいていないと、報酬の支払者側で源泉徴収義務違反が生じてしまいます。

お客様が請求書通りに支払って源泉徴収義務違反となってしまったというのは、外国法人にとってもお客様の信頼を損なう可能性があります。外資系企業の経理担当者はそのような事態が起きないように気を付けたいところです。

外国法人の税務を経理担当者で全て対応するのは難しいかもしれません。

お困りの際は弊所含めて相談いただけると幸いです。