コラム

神社で買ったお札を会社の経費に 経費になるかどうかの分かれ目

昨今のコロナ禍を鑑みると、年明けのお参りなどは難しいかもしれませんが、

それでも商売繁盛や従業員の安全を祈念してお礼を買う等する会社は少なくないと思います。

神社で購入したお礼が会社の経費になるのかどうか説明します。

前提として、神社で購入したお札は会社の神棚に祀るものとします。

会社の経費になる場合

社会通念上、相当な額ということであれば、福利厚生費や寄付金として会社の経費として認められる余地があります。

信仰心というのは、個人の心や精神に宿るものであり、法務局で手続きを行って設立された会社には、当然のことながら、信仰心というものは宿ってはいません。

しかしながら、日本では古くから社屋に神棚を設けて商売繁盛や従業員の安全を祈念してお札を祀るといったことが広く行われており、経営上の慣行となっているため認められる余地があります。

なお、寄附金とする場合には、損金の額(法人税等の計算上、課税標準額(税金計算の基準となる金額)から差し引くことが出来る金額)とできる金額には、一定の限度(損金算入限度額)があります。

お札の購入費用は、通常、領収書は発行されないため、出金伝票などで支出した金額の記録をとる必要もあります。

役員給与となる場合

お札が役員個人に帰属するものである場合には、役員給与です。

例えば、お札の購入が役員の個人的な信仰心に基づくものであったり、役員の厄払いのためのものだったりと、個人的な目的で購入した場合や、社会通念上不相当な高額な寄進である場合には、

会社の経営活動に関連する支出ではなく、役員の個人的な出費とみなされます。

課税関係は以下の通りです。

1.法人税

賞与としての取扱いとなり、損金に算入されないため、法人税等の追徴課税を受けます。

また、法人税等の増額に対して、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが発生します。

2.役員の所得税

賞与としての取扱いとなり、役員の個人所得税が増額されます。

会社としては、賞与については源泉徴収する必要があるため、税務調査で指摘された場合には、源泉所得税の追徴課税を受けます。

また、源泉所得税の徴収をしていないということで、不納付加算税や延滞税などのペナルティが発生します。

交際費となる場合

神社が取引先などの事業関係者である場合には、交際費となる可能性があります。

神事や仏事は基本的には、個人の信仰に基づくものであり、先述した通り会社には信仰は存在しません。

お札の購入が会社の経営活動の一環なのか、個人の信仰に基づくものなのか、役員の個人的なものなのではないか、慎重に判断して取扱いを決めるようにしましょう。