コラム

合計所得金額を算出するために 控除判定・所得による計算の違い等

「合計所得金額」が扶養控除の対象になるのかならないのかのカギになり、税金の額を少なくできるかどうにも関わってきます。

また、令和2年から給与所得控除が改正され、会社勤めの方の場合、年収が同じでも、令和2年と平成31年では合計所得金額が異なるようになりました。

今日は、申告書B様式の所得金額の項目を基準として、各所得項目の順番通りに計算の方法を見ていきます。

1.事業所得(営業等・農業)→収入金額-必要経費=所得金額

2.不動産所得→収入金額-必要経費=所得金額

3.利子所得→収入金額=所得金額

預貯金の利息等のほとんどの金融商品の利息が、源泉分離課税(利息を支払った法人等が代わりに税金を納める)なので、銀行等から受け取る利息を含める必要がありません。

なお、知人などの他人にお金を貸して利子を受け取っている場合は、後述の「雑所得」です。

4.配当所得→収入金額(源泉徴収される前の金額)=所得金額

配当所得を源泉分離課税とせず、総合課税で申告する場合、税引き前の額を所得金額とします。上場株は税率が低いため、総合課税を選択するよりも源泉徴収のままの方が良いケースが多いです。

一般の投資家では珍しいケ-スですが、株式などを取得するために借入をしているのであれば、その借入金の利子を収入金額から引いたものが所得金額です。

5.給与所得→収入金額(源泉徴収される前の金額)-給与所得控除額=所得金額

扶養控除の判定をするのは、「給与所得控除」という概算経費を引いた後になります。

重要なのは「収入と所得はイコ-ルではない」ということです。

6.雑所得

・公的年金等以外のもの→収入金額-必要経費=所得金額

具体的なところでは、事業というほどの規模ではない、印税やアフィリエイトや原稿等で収入を得た場合の所得です。

・公的年金等→収入金額-公的年金等控除額=所得金額

公的年金等は国民年金や厚生年金などから支給される年金です。

給与所得と同様、重要なのは「収入と所得はイコ-ルではない」ということです。

7.総合譲渡所得

○総合譲渡所得

・短期の譲渡(取得して5年以内の譲渡)→譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-50万円=所得額

・長期の譲渡(取得して5年超の譲渡)→{譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-50万円}×1/2=所得額

なお、どちらの場合でも1つ1つの譲渡に対して50万円引くことはできません。

・対象となる資産→土地、建物、株式、ゴルフ会員権、宝石、船舶、車等

・対象とならない資産→棚卸資産、貸付金や売掛金などの金銭債権等

なお、今回は対象資産の総合課税と申告分離課税の区分けは割愛いたします・

8.一時所得→(収入金額-収入を得るために支出した金額-50万円)×1/2=所得額

具体的なところでは、懸賞や福引の賞金、競馬や競輪の払戻金です。より一般的なのは生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等です。

以上、各所得の計算の方法等を説明しました。

次回は今回説明した所得以外で「合計所得金額」に関わってくる、退職金や不動産、株式投資等について説明します。