コラム

医療費控除 申告方法から対象者、限度額など

病気やケガをして病院にかかった、薬を処方された、等で医療費が多くなってしまった際、
「医療費控除」という制度が使えるかもしれません。

あまり知られていない点や知っておくと得になるような点、変更された点について羅列してみました。

健保から発行される医療費通知書が使えるようになった

平成29年度の税制改正で健康保険組合等が発行する「医療費通知書」を使用することができるようになりました。
これまで行わなければならなかった「領収書の内容の記載」や「領収書の保存」が不要になりました。
「医療費通知」は健康保険組合によって様式や名前が異なることが予想されますが、必要な点は以下の通りです。
1.被保険者等の氏名
2.療養を受けた年月
3.療養を受けた者
4.療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
5.被保険者等が支払った医療費の額
6.保険者等の名称

所得が20万円以下でも申告が必要になる


年末調整をした給与所得者であれば、年末調整を受けた給与以外に所得があっても、その他の所得等が年間20万円以下ならば、確定申告はしなくてもよいというものがありますが、医療費控除を利用する場合、年末調整では医療費控除は適用できないので、「申告は必要」です。

扶養でない生計が同一の親族の医療費も控除の対象

例えば配偶者が配偶者控除の対象外でも、配偶者の医療費を支払った場合は控除の対象に含めることができます。また、子供が就職し扶養を外れていても、その子供のために支払った医療費は控除の対象です。生計が同一であれば可能です。
親族の範囲は「6親等内の血族、3親等内の姻族」です。

その年の一年間に支払った医療費が対象

その年の1月1日から12月31日の間に実際に支払ったものが対象です。
未払いなどはご注意ください。

保険金等は医療費から引く


生命保険契約等の給付金(保険金)等は支払った医療費からマイナスします。
支払った医療費の額を上回る給付金があっても、「他の医療費から控除はしません」
例えば、がんに対する医療費が10万円あり、それに対して保険金が15万円であれば、
このがんに対する医療費は0円です。

○医療費10万円以下でも控除が受けられる場合

総所得金額等が200万円未満の場合、医療費が所得の5%を超えれば医療費控除の対象です。

医療費控除の限度額は200万円

医療費控除の対象を超えても、際限なく控除対象となるわけではありません。

医療費の対象になる交通費とならない交通費

通院の交通費は控除の対象ですが、対象外のものも存在します。

・対象のもの⇒電車代、バス代、急を要する場合や公共の乗り物を利用できない場合のタクシー代、一人で通うのが難しい場合の付き添いの方の交通費、紹介を受けた場合に限り飛行機代や新幹線代などが認められるものと考えられます。
なお、公共交通機関の領収書は必要ありません。
また交通費ではありませんが、宿泊費はいかなる場合も「対象外」です。

・対象外のもの⇒ガソリン代、駐車代、高速代などが挙げられます。

所得の多い人に寄せる方が得

医療費を支払った人の控除とするのが大原則ですが、お財布が一緒で負担者が定まらないときは、「所得が多い人の控除」とした方が減税できる額が大きくなります。○還付申告は過去5年分できる
その年の翌年1月1日から5年間提出可能です。
既に確定申告書を提出しているのであれば、還付申告ではなく「更生の請求」という手続きになります。
「更生の請求」の手続き期限は、申告期限から5年以内です。
いずれにせよ、領収書等が残っており内訳が分かっているのであれば、提出を検討してみるのもいいでしょう。

以上「医療費控除」について大まかに羅列しました。
特に毎年医療費控除の対象にならない方であれば、医療費通知が使えるようになった件などを知らずに申告を敬遠している方も多いのではないでしょうか。

こちらに記載の事項も含めて何かお困りの点があれば弊所まで相談いただけると幸いです。