コラム

内部留保への課税で経済が活性化するか? 留保金課税

内部留保によって資金を社内に蓄えているために賃上げや設備投資が進まず、経済の活性化につながらないという意見があります。

この状況に対し内部留保課税を実施して改善しようという主張があります。

内部留保課税を実施することで本当に賃上げや設備投資につながるのか二回に分けて考えていきます。

本日は留保金課税について説明します。

留保金課税

内部留保に対して買い課税する制度は、実は現在も存在します。「特定同族会社の留保金課税」と呼ばれる制度であり、特定同族会社に該当する会社のみ、内部留保に対して法人税が追加で課税されます。

1.対象となる特定同族会社

会社の株主の1人またはその株主グループ(その1人の株主の妻などの親族を含めたグループ)がその会社の株式の50%超を保有しているなどの要件を満たす会社が対象です。

しかしながら、資本金1億円以下の会社は、この制度の適用対象外です。

制度の趣旨としては、株主が配当時の所得税の課税を避けるために不当に会社に蓄えているので、そのペナルティーとして課税して配当するようにさせるものだと考えられます。

2.対象となる留保金

企業の利益-配当-法人税及び住民税-必要な内部留保=課税対象となる留保金

です。

企業の利益のうち、株主へ還元される配当金と法人税及び住民税については、内部留保になりませんから、課税対象ではありません。

ただ、企業の成長のためには内部留保もある程度は必要であることから、下記のいずれか多い金額については、必要な内部留保であるとして課税対象から除外されます。

・所得基準額:所得等の金額(利益)の40%

・定額基準額:2,000万円

・利益積立金基準額:資本金の25%-期末利益積立金額(内部留保)

3.税率

適用される税率は以下の通りです。

・年3000万円以下の金額:10%

・年3000万円超1億円以下の金額:15%

・年1億円を超える金額:20%

以上が留保金課税の概要説明になります。

明日は留保金制度をすべての会社に適用した場合や、その他考えられる制度について見ていきます。