コラム

債権回収ができない! 実際にどうすべきか 

昨日、貸倒損失の要件等について説明しました。

本日は実際にどのように処理したらよいかを見ていきます。

使いやすいのは形式上の貸倒れ

売掛債権についてのみ、「取引停止後1年以上の経過」や「取立費用」との兼ね合いで、貸倒損失とすることが認められています。

商品の販売やサービスの提供などの売上などで発生する売掛債権については、その金額の規模などから、「法律上の貸倒れ」や「事実上の貸倒れ」の要件を満たさないと貸倒損失が認められないというのは、酷だからだと考えられます。

帳簿上はここで貸倒損失としても、法律上は債権として存続しますので、引き続き債権の督促はしましょう。
「法律上の貸倒れ」や「事実上の貸倒れ」とは違い、債務者が資力を喪失したとは限らないので、払うべきものを払わないという姿勢は許したくはないものです。

経理要件

法律上の貸倒れの場合、たとえ会計上貸倒損失を計上していなくても、会社の経費として損金とすることが可能です。

しかしながら、事実上の貸倒れや形式上の貸倒れの場合、会計上貸倒損失として損失計上する必要があります。

形式上の貸倒れの場合、備忘価額1円を帳簿価額として残します。

貸倒損失が認められなかった場合

例えば、書面による債権放棄を行ったが、債務者には弁済能力があったと認定された場合、寄附金として取扱われます。

この場合の寄附金は、寄附金の税金の計算で一定の損金算入限度額を超える部分の金額は、損金(会社の経費)にできません。

最後となりますが、債権の未回収については、貸倒損失として会社の経費にすることは可能です。ただ、税法上の要件が厳しいので、その要件を満たしているかどうかは注意が必要です。

また、回収の意思がなかったと指摘され、寄附金認定されるのは避けたいので、債権回収の努力はしましょう。

その債権回収のための督促の証拠も残しておくべきです。

貸倒れた営業債権のうち消費税部分は、消費税確定申告で取り戻すことが可能です。

不明点等は、ぜひ弊所にお問い合わせください。