コラム

個人事業主として気を付けたい 源泉徴収について

以前、「月次の訪問を待たずに相談していただきたいこと」というタイトルで、源泉徴収について少し触れました。

今回は源泉所得税の仕組みや源泉徴収義務者等について詳しく見ていきます。

源泉所得税の仕組み

源泉徴収とは、年間の所得にかかる税金(所得税)を事業者が給与からあらかじめ差し引くことをいいます。

例えば、報酬100円、所得税率10%で、報酬を受け取るAさん、報酬を支払うB社が存在するとします。

B社はAさんへの報酬支払時に報酬から10円を引いた90円を支払い、10円をAさんの代わりに税務署に納付します。

Aさんにとっては確定申告時に納付する所得税の前払いという位置付けです。

Aさんが確定申告時に計算した所得税が、源泉徴収された所得税より多い場合、オーバーした金額は税務署から還付されます。

源泉徴収義務者

会社や個人が給与や報酬を支払うときは、支払額から所得税を源泉徴収する必要があります。

しかしながら、個人で次に該当する方は源泉徴収の義務がありません。

・常時二人以下のお手伝いさんのような家事使用人のみ給与や退職金を払っている個人

・給与や退職金の支払いがなく、税理士報酬などの報酬や料金のみ支払っている個人

フリーランスの方の場合、源泉徴収が必要な報酬を請求するときに相手先が会社であれば源泉徴収が必要です。

源泉徴収が必要な報酬

報酬を受け取る人間が個人の場合、源泉徴収が必要な報酬は以下の通りです。

1.原稿料は講演料など

2.弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

3.社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

4.プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

5.映画、演劇、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

6.ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

7.プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

8.広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

原稿料・講演料などの源泉徴収

上記1の「原稿料・講演料など」について、例えば以下のものが考えられます。

・挿絵料

・作曲料

・レコードやテープの吹込み料

・デザイン料

・放送謝金

・著作権の使用料

・著作隣接権の使用料

・翻訳料

文章を書く、デザインをする、人前で話をする、といったことが考えられます。

また、名義が謝礼やお車代だとしても、実質が報酬であれば源泉徴収の対象です。

以上、源泉徴収について改めて説明しました。

くどいようですが「源泉徴収の金額は内容によって異なる上に、源泉徴収の要不要は徴収義務者である企業側に責任があります」

お困りの際は、弊所まで相談いただけると幸いです。