コラム

行政書士の源泉所得税

以前の記事で何度か源泉徴収について説明しました。

弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士などのいわゆる士業の方からの請求書をみると、源泉所得税を差し引いた金額が請求金額となっています。そして、その源泉所得税については、給与から天引きした源泉所得税と一緒に、税務署へ納めます。

しかし、行政書士の方からの請求書をみると、そこには源泉所得税の記載がありません。

所得税の天引きをしないで支払ってもよいのでしょうか。

行政書士に報酬を支払う場合

結論から申し上げますと、「行政書士に報酬を支払った場合、源泉徴収は不要」です。

同様に、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出も不要です。

マイナンバーも提供してもらう必要はありません。

依頼した業務が「建築代理士の行う業務」の場合には、源泉徴収が必要です。

なぜ行政書士だけ源泉徴収が不要なのか

士業の源泉徴収については、所得税法204条第1項第2号に次のように規定されています。

居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。

弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

ここでの士業の列挙の中に行政書士はありません。

「その他これらに類する者」に入っているか、所得税法施行令第320条第2項を見ても、行政書士の文字は見当たりません。

しかしながら、ここで記載のある行政書士が行う「建築代理士業務」については、源泉徴収が必要です。

以上、行政書士に関わる源泉徴収について説明しました。

士業だからと単純に判断するのではなく、仕事内容も考慮した上で源泉徴収を行いましょう。