コラム

美術品は経費になるか?

インテリアや内装が、お客様獲得に重要な要素である業種が存在します。

例えばそういった美容室や飲食店等にある絵画の購入費用が経費になるのかを説明します。

1点100万円の美術品等

1点100万円未満の絵画などの美術品等は、原則、減価償却費として損金(会社の経費)にできます。

個人事業主の場合も、お店のインテリアにするなど事業のために使っているのであれば、減価償却費を必要経費にできます。

耐用年数は以下の通りです。

・室内装飾品のうち主として金属製のもの(金属製の彫刻等)→15年

・室内装飾品のうちその他のもの(絵画・陶磁器・彫刻等)→8年

中小企業者であれば、1点30万円未満の美術品等については、購入した年度にその全額を経費にできます。

(2022年3月31日までに取得し、事業の様に供したものに限る)

1点100万円未満という金額の計算方法

ここでの1点100万円というのは、美術品等の値段ではありません。美術品等がインテリアとして飾られるまでにかかったコスト(付随費用)を全て含めた取得価額です。

美術品等の値段の他にも、額縁や引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等が含まれますので注意しましょう。

1点100万円未満でも減価償却できないもの

下記の物は1点100万円未満でも、減価償却資産とできません。

・古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの

・高価な素材が大部分を占めるような小型の工芸品のように、素材の価値がその美術品等の価値の大部分を占めるようなもの

2015年度税制改正から減価償却が可能になった

上述した美術品等の税務上の取扱いですが、2015年度税制改正により、定められたものです。それ以前は美術品等については、時の価値により価値の減少しないものとして土地と同じように減価償却しない固定資産として計上されるのが通例でした。

2015年度税制改正により、2015年1月1日以降に取得した美術品等について、上述した取扱いが適用されます。

1点100万円以上の美術品等

1点100万円以上の絵画などの美術品等は、減価償却できません。その価値は、時間が経っても減少しないので、経費にはできないという考え方からです。

しかしながら、100万円以上でも、時間の経過とともにその価値が目減りする美術品等については、減価償却が可能です。例えば、次の事項のすべてを満たす美術品等がこれに該当します。

・会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く)として取得される

・移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなもの

・他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれない

上記は法人税法基本通達7-1-1に記載の例示ですが、この例示に該当しないものについては、こちらの例示を参考に判断することが肝要です。

以上、美術品にかかわる経費処理を説明しました。なお、減価償却資産にしたときには、償却資産税の対象になる点もご留意ください。