コラム

売上原価を確定できずに決算日を迎えてしまうと?

会社の経費にするために債務は必ず確定しているわけではありません。

売上原価は債務未確定でも売り上げにひも付けて会社の経費にします。

売上原価を見積もり計上する

たとえ販売代金が確定していなくとも、商品や製品の引き渡し、サービスの提供の完了等があれば、金額を見積もって売上計上する必要があります。

売上原価も同様で、その売上原価の額が未確定であっても、それに対応する売上の計上に伴って見積りで計上します。

「費用と収益は同じ会計期間に対応させて計上する」という費用収益対応の原則の考え方と同様です。

費用は債務確定基準に基づき計上するかどうか

結論から申し上げますと債務確定基準は販売費および一般管理費を対象とします。

会社の費用とするためには、償却費以外の販売費および一般管理費については、事業年度終了の日までに債務の確定が必要です。

販売費及び一般管理費はその費用が発生した費用の期間に応じて計上しますが、債務が確定していないとその期の経費となりません。

これに関連して経理担当の方であれば、貸借対照表(B/S)に未払金、未払費用が計上されていると、ほぼ確実に税理士から「未払金、未払費用の中に債務が確定していないものが含まれているかどうか」質問されると思われます。

債務確定基準の3要素

償却費以外の費用で事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、以下の要件の全てに該当するものです。

・その事業年度終了の日までにその費用に係る債務が成立している

・その事業年度終了の日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している

・その事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものである

修繕費を例にとると、建物等の修繕を発注し、業者によって修繕が完了し、かつ金額の見積りが客観的にできる状況であれば、上記の3つの要件を満たすので、未払金等として計上して会社の経費にできます。

売上原価と債務確定基準について説明しました。

経理をするときは、通常は請求書を受け取ってそれを入力します。そのため、債務が確定しているにもかかわらず、請求書が届いていないと計上が漏れてしまいます。

決算月にすでにサービスを受け終えたものについての請求書が遅れて届くと、本来であればその事業年度の会社の経費にできたものが入れ損なってしまう可能性があります。

請求書は月末までに提出するようにすると、親切なのはもちろん、請求漏れや回収漏れの防止につながります。