コラム

前向きに税金を支払うために

誰しも「税金を払いたくない」という思いはあるかと思います。

会社経営者ともなれば、事業年度終了後の法人税や消費税の支払いに対してはなおさらその思いを強くすることでしょう。

今回は、逆転の発想で、税金を支払うメリットについてお話をしたいと思います。

「税金を払いたくない」と考える理由

物品を購入する際、サービスを受ける際、お金を支払って始めて欲しいものが手に入ります。

お金を支払うことによって支払った額に等しい価値の物を手に入れることができます。

税金も同じです。税金を支払うことにより、学校で教育を受けることができ、

警察や消防等の民間にはない行政サービスを受けることができます。

同時に、税金の場合は支払っていなくとも行政サービスを受けることができ、支払額によってサービスの質が変わりません。

税金の支払額は売上にも影響がありません。サービスを受ける対価の質が変わらないので、税金を支払うメリットが感じにくいということではないでしょうか。

税金を支払うメリット

1.いざという時の備えになる

会社がお金を貯めるには納税が必要です。利益が出れば法人税が課税されます。

例えば、利益が100万円出たとしましょう。法人税等の税率は30%と仮定すると、

30万円は法人税等として課税されますが、残りの70万円は会社の財産として貯めることができます。

税金を払いたくないからとって、100万円を無理して使えば、お金を貯めることもできません。

会社がお金を貯めなければ、景気の悪い時を乗り越える体力がありません。

それでもやっぱり税金を少なくしたいときには、会社の将来へ向けた投資にお金を使うのがお勧めです。

2.金銭感覚や節税の知識が身につく

会社で1億円のお金を10年で貯めるには、1年あたりの利益(税引前)はどの程度必要になるのでしょうか。

税金を払う経営者の立場になると、税金を意識することでこういった点に意識が向くようになります。また、ルールの範囲内できっちりと節税をするという意欲も高まりますから、節税の知識も身につけることができます。

3.寄附金制度を利用して税金の使い道を選べるようになる

個人の場合であれば、納税額が多ければ多いほど、寄附金制度を使って、自分の意志で税金の使い道を選ぶことができます。

その代表格がふるさと納税です。自己負担2,000円で、自分が応援したい地方自治体に納税することが可能になります。

(制度上、寄附金という制度ですが、実質、居住地への住民税を減らし、応援したい地方自治体へ住民税を納めているのと同様)

ふるさと納税のほか、日本赤十字や、大学、認定NPO法人、学術機関などへの寄付金についても、寄付金控除制度により所得税や住民税を受けることができます。

4.税務調査を恐れなくなる

税金を払いたくないということで、売上を抜く、架空経費を計上する等の脱税を行うと、罪悪感が残るばかりか、いつか来るかもしれない税務調査が怖くて仕方なくなります。

悪意のある脱税は、重加算税や無申告加算税などの多額のペナルティーが課されるほか、場合によっては刑事罰を受ける可能性もあります。

適切な節税にとどめ、必要な納税を行っていれば、税務調査は怖くありません。

多少の間違いや見解の相違程度で課税されることはあるかもしれませんが、その程度であれば会社への打撃も軽微です。

やましい気持ちになる必要もなく、堂々と税務調査に臨むことができます。

「税金を払いたくない」という感覚自体は普通の感覚でしょう。

しかしながら、上記の説明を頭に入れれば、税金に対して前向きに取り組むことは決してマイナスにはならないと考えます。