コラム

個人のままでいること法人化すること

法人化することにはメリットもデメリットもあります。

また、事業の規模や特性、経営者の資質や価値観も関係してくるため、一概に法人化する方がいいのかしない方がいいのか断定はできません。

その判断材料として、今回は幅広く法人と個人について、項目ごとに見ていきます。

個人と法人の比較

まずは個人と法人を比較したものですが、以下のようになります。

 個人法人
開業に係る費用不要。開業届の提出のみ株式会社の場合、20万2,000円必要 (定款を電子認証にし、資本金の1,000分の7が15万円を超えない場合)
社会的信用法人より低い。他の企業と取引できない可能性がある個人より高い
資金調達法人より融資を受けにくい個人より融資を受けやすい融資額も高くなる傾向がある
退職金損金として認められない損金として認められる
事務作業法人より少ない個人より多い。例として法定調書の提出、複式簿記による記帳等
欠損金の繰越控除可能期間翌年以降3年間9年間。事業年度によっては10年間
赤字年間で赤字の場合は0円法人住民税の均等割により0円にはならない (東京の場合、資本金1,000万円以下、従業員50人以下で7万円)
責任の範囲全責任を負う必要がある個人保証の借入を除き、法人の財産の範囲内
契約等原則本人が動く必要がある登記事項証明書、印鑑、印鑑証明の用意と、代理人の本人確認ができれば、代表者以外でも可能な契約等がある

法人化が節税につながるか

次に節税という点に絞って見ていくと、大きな部分では利益がポイントになります。所得税と法人税の税率が異なるからです。

所得税法上、利益が大きくなるほど税率が上がる超過累進税率が適用され、法人税法上は原則として法人所得金額の大小にかかわらず比例税率が適用されます。

所得税の税率は、総合課税の対象となる課税総所得金額に応じて5%から45%です。住民税も入れれば、プラス10%です。

一方、法人税は中小法人の場合、所得金額800万円までは15%、超過金額については23%程度です。ただし、事業税・法人住民税がありますので、33.8%程度になります。

単純に税負担のみを考慮した場合、「事業の利益が少ないうちは個人」、「利益が増えた場合は法人」の方が有利です。

しかしながら、設立する法人の規模や家族従業員の扱い、役員報酬の程度によって変わってきます。

以上、単純比較が可能な部分と節税という部分について、個人と法人を比較しました。

具体的な節税のシミュレーション等、疑問点があれば弊所まで相談いただけると幸いです。