コラム

会社の決算月はいつがよい?変更のポイント

本日は、会社の決算月についてお話しします。

日本の会社の大多数は決算月を3月と定めていますが、これは国や市区町村の会計年度が4月から3月までであることに倣っているのが理由です。海外では、12月決算がほとんどで日本だけ決算月が違うことが多いです。

ただし、特に何月にしなければいけないと決まりがあるわけではありません。

そのため、決算月は既存の会社でも変更できます。

ポイントを追って説明します。

○決算月を3月や1月にする(税理士の仕事の観点から)

「決算月を特段の理由なく3月にするのは結論から言うとお勧めできません」

先に述べた通り周りの大多数の会社も決算月が3月であるため、公認会計士や税理士に仕事が集中するからです。

仕事が集中すれば、決算チェックや会計監査、法人税の申告にも十分に対応してもらえない可能性が出てきます。

忙しいから手を抜く、ミスをするということは当然あってはなりませんが、人手や時間にも限りがあるのが実際のところです。また、その時期に報酬が変わる可能性があるのは、監査報酬などで言われている話で、よくあることで、2月決算と3月決算で監査報酬が大きく変わるなんて話を聞いたことがある方も少なくはないのではないでしょうか?

同じく仕事の集中という理由から、「1月にするのもお勧めできません」

こちらは所得税の確定申告の時期が3/15であり、3月上旬から中旬で繁忙期が重なることで税理士に仕事が集中します。

○資金の状態から考える

では「何月に設定すればいいのか」というところですが、資金の状態から考えるのもいい方法です。

決算月の2カ月後に法人税や消費税を納税しなければなりません。「納税に支障をきたさないよう、資金が少なくなる月の2カ月前は避けます」

具体的に資金が少なくなる事案としては、売上の入金が少ない、仕入や経費の支払いが多い、従業員にボーナスを支払うなどが挙げられます。

この際、実際の入出金をベースに考えます。売上や仕入の計上ではありません。あくまで、お金(キャッシュ)入る時期を考えてください。

納税資金のために借り入れをさせてくれる金融機関もあります。ボーナスなどの季節融資と同じ種類のものですが、一時的に資金が足りない場合には検討してもよいかと思います。

上述の話と反対の話をしますが、通常の日本の会社は、上述の通り、3月が決算の会社が多いので、売り上げが期末に上がりやすく、その入金が5月に見込めるから、3月決算とするのも考えられます。

○消費税の免税期間を考える

資本金が1,000万円未満で開業の最初の2年度に限られますが、この場合に限り消費税の納税が免除されます。

ここで注意をしたいのは、免除されるのは2年間ではなく2年度であるという点です。

仮に最初の事業年度が4カ月だけであれば、1年4カ月で2年度が経過します。

そのため、開業から決算月をできるだけ離すことで最大2年間納税が免除されますので、その点も考慮した方がいいかと思います。

ただし、消費税に関わる規定にはさまざまな例外規定もありますので、あらかじめ弊所を含めて税理士に相談するのがよいでしょう。

〇手続き関係

もし「決算月を変える」ということであれば、株式会社の場合、株主総会で定款の変更を決議します。

定款の変更には特別決議が必要になります。特別決議では議決権ベースで過半数の株主が出席し、出席した株主のうち、議決権ベースで3分の2以上の賛同を得なければなりません。

会社によっては通常の議決権ベース以外の異なる規定をしている場合もありますので、事前に規定を確認しておきましょう。

株主総会で決議されれば、税務署に異動事項に関する届出をします。

以上が会社の決算月の概要です。

慣習に囚われず、繁忙期や資金繰りから考え、必要であれば変更するのがよいと考えます。