借上げ社宅で節税ができる?
プライベートな支出を会社の経費にはできませんが、自宅の家賃は借上げ社宅として会社の経費にできます。
借り上げ社宅で節税する方法
1.会社が社宅の家賃を全額負担すると給与課税
会社が借り上げた社宅を無償で役員や従業員に貸した場合、会社が役員や従業員から徴収すべき賃料相当額(会社が負担している家賃の10%~50%程度)が給与課税の対象です。
2.役員や社員から一定の家賃を徴収して節税をする
役員や従業員が家賃の10%~50%程度の負担をすれば給与課税されずに済み、加えて会社が負担した家賃も会社の経費にできます。
3.住宅手当との比較
会社が役員や従業員の家賃負担を補助する目的で、住宅手当の支給があります。住宅手当と借上げ社宅を比較すると下表の通りです。
住宅手当 | 借上げ社宅 | |
メリット | 給与としての支給だけのため、事務負担は小さい | 給与課税されず、社会保険料も増加しない |
デメリット | 住宅手当は給与課税され、社会保険料の負担も増加 | 社宅の管理などの事務負担は増加 |
役員や従業員からにいくら家賃を徴収すべきか
1.計算の手間を省くなら50%で設定
会社が負担している家賃の50%相当額以上を役員や従業員から徴収する場合は、問題ないと考えられています。実際、そういったやり方法を採用している会社も存在します。
2.節税効果を最大化するのであれば10%程度でも可能性あり
役員や従業員から徴収するべき賃料相当額の計算方法は、所得税法基本通達に定められています。それに従って計算した場合、会社が負担する家賃の5%~10%程度の家賃を役員や従業員から徴収すれば済む可能性が高いと考えられます。
ただし、その計算をするためには、借り上げている社宅の固定資産税の課税標準額が必要です。その固定資産税の課税標準額を知るためには、
・家主に固定資産税の通知を見せてもらう
・役所に行って確認する
といった2点が必要です。
従業員への借上げ社宅のメリットとデメリット
会社が従業員へ借上げ社宅を提供する際、会社が人件費として従業員に使うことができるお金は決まっているため、社宅の家賃負担分だけ給与を抑えることが必要です。
1.メリット
本来給与としてもらうべき部分を会社が家賃として負担していて、その分の給与課税も受けないため、所得税・住民税の節税効果があります。加えて、社会保険料の負担も減少します。社会保険料の減少は、従業員だけでなく、会社の負担も軽減します。
2.デメリット
従業員が自分で借りるべき自宅を会社が代わりに借りることになるため、その分だけ会社側の事務負担が増加します。
また、従業員から見ると見た目の給与の額が抑えられることになるため、税金・社会保険料のメリットを考えずに安易に「給与が安い」と思われてしまう可能性があります。
家族経営の会社等であれば、借上げ社宅制度の活用は、個人として行う手続きを会社として行うだけのため、負担はそう変わらないでしょう。
従業員のいる会社は、従業員への社宅導入の事務負担をどう考えるかです。また、給与が抑えられている分、節税メリットなどがあり、それを給料として得るよりも得があることを従業員が納得する必要があるでしょう。