会社設立時にかかかる税金 事業税
昨日の記事で設立時に関わる税金のうち、法人税と住民税について説明しました。
本日は事業税について説明します。
事業税
事業税は、事業所を設けて事業を行う法人などが納税義務者となると都道府県単位で課税される税金であり、課税方法は、その法人の規模や業種により異なります。
1.資本金が1億円以下の普通法人の場合
法人税と同様に所得金額に対して税率を乗じて税額を算出します。税率は、超過税率の適用があるか、軽減税率不適用法人に該当するかにより異なります。
東京都の場合、税率は以下の通りです。
年400万円以下の所得 | 年400万円超 年800万円以下の所得 | 年800万円超の所得 | |
軽減税率適用法人 | 3.5%(3.75%) | 5.3%(5.665%) | 7.0%(7.48%) |
軽減税率不適用法人 | 7.0% |
※カッコ内は超過税率
なお、標準税率とは、地方税法に定められた標準的な税率であり、47都道府県すべて共通です。
ただ、事業税は地方税ですので地方自治体にも異なる税率を定める権利があります。一部の府県では、標準税率とは異なる超過税率をそれぞれの都県で定めています。
2.資本金が1億円を超える普通法人の場合
資本金が1億円を超える普通法人の場合、所得金額のほかに、会社の規模に応じて事業税が課されます。これを一般的には、外形標準課税と呼んでいます。外形標準課税対象法人の課税の対象は、下記の3つです。
・所得割→法人の所得金額に税率を乗じて税金を計算。東京都の税率については、下表を参照
・付加価値割→法人の報酬給与、純支払利子、純支払賃借料に対して税率を乗じて税金を計算。東京都の場合、税率は1.26%
・資本割→法人の資本金等の額に対して税率を乗じて税金を計算。東京都の場合、税率は0.525%
所得割については、付加価値割、資本割といった課税があるため、資本金1億円以下の法人に比べて、税率は低くなります。
年400万円以下の所得 | 年400万円超 年800万円以下の所得 | 年800万円超の所得 | |
軽減税率適用法人 | 0.495%(0.4%) | 0.835%(0.7%) | 1.18%(1.0%) |
軽減税率不適用法人 | 1.18%(1.0%) |
※カッコ内は地方法人特別税の基準法人所得割額の計算で使用する税率
3.電気・ガス供給業または保険業を行う法人
電気・ガス供給業または保険業を行う法人の場合は、上記1、2に関わらず、収入割額(平たく言えば、売上)に対して税率(標準税率1.0%、東京都の場合、超過税率1.065%)を乗じて事業税を算出します。
太陽光発電での売電収入はこれに該当します。
4.特別法人事業税
税制改正により、地域間の税源偏在を是正するため、地方法人特別税を廃止して、特別法人事業税が創設されました。
計算方法は、下記の通りです。
法人の区分 | 地方法人特別税の計算方法 |
資本金1億円以下の普通法人 | 基準法人所得割額×37.0% |
資本金1億円超の普通法人 | 基準法人所得割額×260.0% |
電気・ガス供給業・保険業 | 基準法人収入割額×30.0% |
なお、基準法人所得割額又は基準法人収入割額とは、標準税率により計算した法人事業税の所得割額又は収入割額のことです。
確定申告書をみると、専門用語がたくさん並んでおり、不慣れな方には読みにくいものになっていますが、計算方法がどうなっているのか確認してみるとよいでしょう。