コラム

開業費(創業前の経費)について

【質問】

令和2年8月1日に設立(令和23年7月31日決算)された、HP制作会社です。

社長は、独立開業のリスクを最小化するため、同社の設立準備を同業種に勤務しながら水面下で行っていました。

そのため、同社の設立準備を令和2年2月頃から開始していました。設立の準備のために経費が発生していますが、7月までの部分については、切り捨てるほかないのでしょうか。この設立準備に要した費用は、(税務上の経費である)損金になりませんでしょうか?

【回答】

法人税基本通達2-6-2には、設立期間について「通常要する期間」を定めており。 法人の第1期の損益に計上し、「通常要する期間」が長期にわたる場合は、法人の第1期の損益に計上できず、別個に法人税の申告が必要になることが考えられる、とあります。

「通常要する期間」という不確定概念は、「概ね、1か月程度」などという見解もありますが、法令や通達では明確にされていないもののの、国税庁の内規等で1か月ということになっている部分もあり、特段、設立に長期間を要するものでなければ1か月超を超えるのは難しいという見解が一般的です。

ただ、先ほど述べた「別個に法人税の申告が必要になる」という部分について、それをしなかった事により指摘を受けたことは、過去ありません。

以上より、事業関連性を明確にしたエビデンスを作成した上で、設立準備費用について、ある程度の期間での開業費計上は認められるものと思われます。