コラム
非居住者の生命保険解約に伴う税金について
質問
日本での住民票はなく、今は海外に居住を移した人(非居住者)が、日本に居住していた時に、日本国内の生命保険会社に掛けていた生命保険を解約して、解約返戻金を受け取った場合、返戻金に税金はかかりますか?
答え
1. 日本での課税
生命保険の解約返戻金は、国内源泉所得に該当するため、日本で課税がされます。
海外に永住権を得て居住地を変えても、「資産運用は日本でされていた」ので、日本国内での課税権が生じるという整理になります。
課税の受け方は、保険期間や解約のタイミングによって、源泉徴収(源泉分離課税)、または、確定申告(総合課税)となります。 なお、源泉徴収税率は15.315%、総合課税の税率は5%~45%の累進税率(別途復興特別所得税2.1%)です。
1.源泉徴収(源泉分離課税)の場合…所得税法第161条第11号保険料が一時払いの生命保険など(損害保険や共済を含む)のうち、 保険期間が5年以内のもの、または、保険期間が5年超でも保険期間の初日から5年以内に解約したものから生じた利益
2.確定申告(総合課税)の場合…所得税法第161条第1号
上記以外の保険から生じた利益。
なお、この場合、日本国内で「納税管理人」を立て、一時所得として申告を行う必要があります。
なお、1月1日時点で日本の非居住者となっている場合、住民税は発生しません。
2. 租税条約による課税の免除
日本が外国と締結している租税条約によっては、日本国内で発生した保険解約益について、居住国でのみ課税を受け、日本での課税が免除される場合があります。
その場合、条約の確認も必要になるため、専門家の関与が必要不可欠です。租税条約は、常に改定がされ、国際税務の専門家でなければ対応が難しいです。
お悩みの場合は、ぜひ弊所にご相談ください。