コラム

青色申告について 申請していなかった場合

昨日に引き続き青色申告に関連した記事です。本日は青色申告の申請をしなかった場合についてです。

青色申告をしていなかった場合

1.税務調査のとき推計課税により更正される可能性がある

青色申告法人(中小法人の場合)の場合、法人税の税務調査による更正処分は、帳簿書類に基づき行わなければならないと規定されています。

逆に、青色申告をしていないと、税務調査官による「推計」による更正処分が行うことできます。

「推計」ですので、計算方法は決まってはおらず、合理的だと判断されればそれが処分として正当性を持ってしまいます。想定以上の追徴課税を受けてしまうリスクがあります。

2.赤字が発生した事業年度の欠損金を翌年以後に使用することができない

会社設立から数年は赤字ということも多いかと思われます。

この赤字(欠損金)は、黒字化した時に、法人税等の計算上、その黒字と相殺することができます。(青色欠損金の繰越控除)

例えば、設立事業年度に1,000万円の赤字が存在し(この赤字を繰越欠損金といいます)、

2年目から400万円の黒字の会社の場合、青色申告会社の課税は以下の通りです。(法人税率は15%と仮定)

・1年目→赤字1,000万円なので法人税は0円

・2年目→黒字400万円-繰越欠損金400万円=0円

繰越欠損金の残高は1,000万円-400万円=600万円

・3年目→黒字400万円-繰越欠損金400万円=0円

繰越欠損金の残高は600万円-400万円=200万円

・4年目→黒字400万円-繰越欠損金200万円=200万円

税金は、200万円×15%=30万円

しかしながら、青色申告をしていない場合はというと同じ条件で、

4年間トータルの利益200万円に対して180万円の法人税の課税となります。

3.赤字が発生した事業年度の前事業年度の税金を取り戻すことができない

中小企業の場合、赤字が発生した前の事業年度の黒字によって生じた税金を取り戻すことが可能です。

前期は400万円の黒字で法人税を60万円納めたけれども、今期は400万円の赤字となってしまった際、上記の青色欠損金の繰越控除に代えて、前期の法人税60万円を取り戻すことが可能です。(欠損金の繰り戻しの還付という制度です)

4.従業員の雇用や給与を増やしても雇用促進税制や賃上げ・投資促進税制の適用を受けることができない

青色申告法人は、雇用者を増やした場合や従業員の給与を増やした場合で、一定の要件を満たしているときは、雇用促進税制や賃上げ・投資促進税制の適用を受け、法人税額を減少させることができます。

以上、青色申告がない場合のデメリットを説明しました。特に、設立初年度に目を向けた際、その赤字の将来の有効活用は大きなポイントだと考えられます。

申請書の提出期限は会社の設立日から3月以内のため、忘れないように注意しましょう。