監査報酬の費用化、損金になるタイミング
監査報酬は数千万、数億になることもある非常に金額の大きいものです。
金額の大きさに合わせて、税金の取扱いにも注意が必要です。
監査報酬の会計上の処理
監査報酬は金額の大きさから、分割払いで支払うことが多いと考えられます。
月次決算で費用計上を平準化したいということで、監査報酬を各月に按分して計上しているという経理を行っている企業は少なくありません。
そして、監査終了後に支払う監査報酬について、期末に未払計上するという処理もよく行われています。
例えば、2021年3月期の監査であれば、2021年3月期中にすべて費用化するために、
監査終了後に支払う金額を2021年3月末に未払計上するといった具合です。
監査報酬の税金取扱い
会計上の処理だけでなく、税金の取扱いについても見ていきます。
法人税と消費税それぞれについて見ていきます。
1.法人税の取扱い
法人税では、監査報酬のように販売費及び一般管理費に該当する費用については、債務が確定した時に損金に算入します。
2021年3月期の監査報酬を未払計上しているのであれば、2021年3月期については損金不算入の処理を行い、2021年3月期において損金算入します。
監査という業務は、期末時に会社が作成する財務諸表の監査であり、
主な作業時期は、決算日後の3カ月間です(特に、初めの1、2カ月)。
つまり、監査終了後に支払う報酬については、役務提供が終わっていないのが明らかです。
そこで、先述のように会計上は費用としつつも、税務上は損金算入できないので、税務申告書上、調整を行います。
2.消費税の取扱い
基本的には、法人税と消費税では、同じ取扱いをします。
つまり、法人税で損金にはならない未払計上した監査報酬は、消費税においても仮払消費税とはできません。
そこで、監査報酬を未払計上する場合には、金額を税抜きとし、消費税を課税対象外として会計ソフトに入力するとスムーズに処理することができるでしょう。
監査報酬について会計上の処理方法と税金の取扱いについて説明しました。
監査法人では、その監査報酬が損金になる時期がいつになるかということは意識せずに契約書を作成するのが一般的なため、後々報酬の内訳が分からない、どの金額を損金にすれば分からない、といった問題が生じる可能性があります。
監査法人では、どの仕事に何時間かかるのかという計画を作成していますので、交渉次第では監査報酬の内訳を記載してもらうことが可能です。
監査法人との契約時に税務上の損金算入額を明瞭にするため、監査報酬の内訳を契約書に記載してもらうとよいでしょう。