外注費が給与と判断された場合
業務請負先や業務委託先に対しての支払いは外注費として取扱われます。
そして、業務請負先や業務委託先の中には、社員と同じように会社に常駐して働いている方がいます。
この会社に常駐している方に対して支払う外注費が、実質的には給与とすべきものと判断された場合、追加の税金の負担とそれに伴うペナルティーが発生します。
本記事で外注先として仕事を発注する場合に、給与認定されないために必要な点も紹介しますが、当然無知な労働者をだまして不当な利益を得るということではありません。
その点、誤解のないようにお願いいたします。
業務請負先や業務委託契約のメリット
業務請負先や業務委託先では、社員、契約社員、パート、アルバイトの方と交わす雇用契約や派遣契約に比べ、
・使用者責任が問われない
・社会保険料や労働保険料の負担がない
といったメリットがあります。
悪質な偽装請負では、
・労働法の縛りがないので、残業代が発生せず、いつでも契約の打ち切りができる
・派遣法で禁止されている仕事にも業務請負であれば派遣できる
といった事例も存在します。
税務調査で外注費が給与認定された場合
1.源泉所得税
外注費が給与認定された場合には、所得税の源泉徴収漏れがあったとみなされます。
そして、納めるべき税額を納めていないということで、不納付加算税(税額の10%相当額)が課されます。
さらに、納付が遅れたということで延滞税が課されます。
2.消費税
事業者が納税する消費税の金額は、原則として、「預かった消費税の額」-「支払った消費税の額」で算出します。
個人へ外注費を支払うときには、消費税を含めた金額を支払いますが、外注費が給与として認定された場合、外注費に含まれる消費税分が過少申告であったものとして追徴課税されます。
納付税額の10%~15%の過少申告加算税と延滞税が課されます。
3.外形標準課税
資本金が1億円を超える法人の場合、給与、支払賃借料、支払利子などの規模に応じて外形標準課税と呼ばれる課税が発生します。
外形標準課税の対象となる報酬給与には、給与や派遣会社への派遣料が該当しますが、業務請負や業務委託は該当しません。
しかし、給与認定される業務請負や業務委託については、外形標準課税の対象となる報酬給与に含まれます。
外形標準課税についても税務調査で給与認定を受けた場合には、追徴課税を受けることとなり、これに対する過少申告加算金や延滞金が発生します。
外注費が給与認定されないために
支払う報酬が外注費となるのか、給与となるのかについては、昭和56年最高裁の判決で一定の基準が示されました。
それを踏まえた上で外注先として仕事を発注する場合には、以下のようにして外注先としての実態を備える必要があると考えられます。
・勤務時間ではなく仕事の成果に応じて報酬を決める
・契約で定められた仕事以外を外注先にやらせない
・仕事で使う道具については外注先に任せる
・就業場所や就業時間といった拘束をしない
以上、外注費が給与と認定された場合、給与と認定されないために必要な点を説明しました。
くどいようですが偽装請負をするというのはもっての外です。
追徴課税や延滞税を課されるのにとどまらず、刑事罰を受けることにもなりかねませんので、絶対にやめましょう。