印紙税の基本 その1
印紙税の概要
• 印紙税は明治6年に制定された「受取諸証文印紙貼用心得方規則」に端を発した税法で、明治32年に印紙税法が制定されています。また昭和42年に全文改正され、その後数回の改正を経て今日に至っています。
• 平成元年の消費税の施行に合わせて、従来の25の課税文書の内、5の課税文書が廃止され、現在は20種類の文書が課税文書になっています。
• 文書の作成者が自ら課否判定を行い、税額を算定し所定の収入印紙を添付(その他にも、一括納付、書式表示等の納税方法もあります。)して納税が完了するという、自主納税方式をとっています。
課税文書とは
• 課税文書とは、印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられている文書です。従って、この課税物件表に掲げられていない文書については、不課税文書として、課税になることはありません。
• この課税物件表に掲げられている文書であっても、非課税文書の規定や記載金額により課税とならないものがありますので注意が必
要です。
印紙税法上の契約書とは
• 契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問いません。
• 契約当事者間において、その契約(予約を含む)の成立、更改又は内容の変更若しくは補充の事実を証明する目的で作成される文書のことをいいます。
• 解約の合意書などの契約の消滅の事実のみを証明する目的で作成されるものは課税文書に該当しません。
• 念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書であっても、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することとされているものは契約書に含むものとされています。
契約書の留意事項
• 印紙税法上の契約書とは、契約証書、約定書その他名称のいかんを問いませんので、申込書、注文書等であっても、相手方の申し込みに対する承諾の事実を証明する目的で作成されるものは、印紙税法上の契約書に該当します。
• 課税物件表の2以上の号に該当する課税事項が記載されている場合には、いずれか一つの号の課税文書として課税することとされています。
• 継続的取引の基本となる契約書(7号文書)については、その前提が「営業者間」となっていることから、国、県や市とこの契約を締結した場合には、7号文書に該当することはありません。
• 領収書については、営業に関しないものは非課税となっていることから、サラリーマンが、たまたま売った土地等の代金に係る領収書については、収入印紙を貼付する必要はありません。
記載金額とは
• 原則として、その文書に記載された金額をいいます。
• 契約金額が具体的に記載されていない場合で、例えば、単価、数量、記号等が記載されており、それにより計算できる場合も含みます。
• 記載金額が外国通貨により表示されている場合には、文書作成時の本邦通貨に換算した金額が、記載金額になります。
契約金額を変更した場合の取扱い
• 変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかかどうか、また、契約書における契約金額の記載方法によっ
て記載金額の取扱いが異なります。
例えば、令和〇年〇月〇日付の請負契約書の請負金額1億円を1億500万円に変更すると記載した場合は、500万円が記載金額になります。
しかし、令和〇年〇月〇日付の請負契約書の請負金額を1億500万円に変更すると記載した場合には、1億500万円が記載金額になります。
消費税額等が記載された場合の記載金額の取扱い
• 消費税額等が区分記載されている場合等、課されるべき消費税額等が明らかである場合には、その消費税額等の記載金額は含めないで判定する。
例えば、「商品代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円」や「商品代金52,800円、但し消費税額等4,800円を含む」と記載した場合は、記載金額が48,000円の受取書になり、収入印紙を貼る必要はありません。
しかし、「商品代金52,800円、(但し消費税額等を含む)」と記載した場合には、消費税額等が明らかになっていませんので、記載金額が52,800円の受取書になり、収入印紙を貼る必要があります。
課税文書の納税義務者とは
• 課税文書を作成した時に納税義務が発生します。
• 納税義務者は、課税文書の作成者で、原則としてその文書に記載された作成名義人です。
• 不動産の売買契約書等の場合、売主・買主が共同して作成することになりますが、この場合には、売主・買主が連帯して印紙税の納税義務を負うことになります。
• 国、地方公共団体等については、非課税規程があり納税義務者にはなりません。
参考 国税庁 印紙の手引き https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/tebiki/01.htm