コラム

20万円未満の資産の減価償却と「一括償却資産・少額資産」

10万円以上の固定資産は、減価償却を行って毎期費用化するのが原則です。費用化の期間は耐用年数表にしたがって償却されます。

しかしながら、例外的に短期間で償却できる場合があり、一括償却資産と少額資産に分けることができます。

ポイントごとに見ていきます。

○一括償却資産とは

・内容

一括償却資産とは20万円未満の固定資産を指し、税務上3年間(36カ月)で損金にできます。

・償却方法

償却費は、取得価額の合計額×1/3で算出します。

例:20X1年に15万円のPCを10台、10万円の机を4台、11万円の植木を1株購入。(合計2,010,000円)

→減価償却費

2,010,000円×1/3=670,000円(20X1年)

2,010,000円×1/3=670,000円(20X2年)

2,010,000円×1/3=670,000円(20X3年)

・対象資産

新品でも中古でもどちらでも構いません。

有形、無形も問いませんが、リース資産や10万円未満、または使用可能期間が1年未満で取得価額全額を費用計上した資産は対象外です。

・取得価額

取得価額は税抜経理方式か税込経理方式かで異なるので、注意が必要です。

例えば税込経理方式を採用していた場合、取得価額が20万円以上であれば一括償却資産の対象外です。

○メリット

処理上のメリットとしては、一つ一つ月割りで償却費を計算せずに済むところでしょう。

税務上のメリットとしては、早期に取得価額全額を損金とすることができるので節税につながることです。

また、見落とされがちですが、償却資産税の申告対象外ということです。

○デメリット

早期に損金処理できるメリットと表裏一体ですが、デメリットとしてその分利益が押し下げられます。

融資や出資を受けようとするタイミングでは、マイナスに働く可能性があります。

また、資産を購入した翌期以降に売却や廃棄等を行ったとしても、3年間は同じ処理で償却費を計上しなければならず、

残存価額を除却損として計上できません。

〇少額資産特例とは

・内容

当制度は、従業員数1,000人以下の青色申告法人である中小企業者等が、取得価額30万円未満の減価償却資産で一定のもの(以下、少額減価償却資産)については、適用を受ける事業年度においてその全額を費用とすることができる制度です。

ただし、1年間で費用処理できる少額減価償却資産の取得価額の合計は300万円(事業年度が12ヶ月未満の場合には月数按分が必要)までで、それを超える金額については費用処理することはできません。

・デメリット(注意点)

中小企業者の特例制度で一時の費用として処理した少額減価償却資産は、償却資産税の申告対象となっています。

いかがでしょうか。以上が一括償却資産・少額資産についてです。

デメリットについても説明しましたが、一括償却資産・少額資産で処理するメリットは大きいと考えます。

資産購入をお考えの際、節税面も含めて一度弊所に相談いただければ幸いです。