日本政策金融金庫_融資審査のポイント_②財務内容(主としてカネ)
先日は、日本政策金融金庫の融資審査のポイントについて、その概要をについて、お話をしました。本日は、財務内容(主としてカネ)の部分を掘り下げていきたいと思います。
まず、6つのグループ(売上高、利益、自己資本、借入金、貸付金・仮払金、その他)に分けて、一つずつに分けて話をしていきたいと思います。
1.売上高
着眼点
・企業のサイズ(規模)を大まかに把握する。
⇒それによって、他の勘定科目の数字を見るときの基準を得ているか。
・売上の仕組み・お金の流れから事業内容を把握する。
知りたいポイント
・誰に何をうるか?
⇒売上を計上するタイミングとその回収方法
・主な取引先と取引先別、月別の内訳
・複数事業を営んでいるときは部門別の内訳
・複数店舗を営んでいるときは店舗別の内訳
・試算表未作成でも、せめて決算期以降の売上を把握したい
2.利益
着眼点
・小規模企業は「儲かる体質」への転換が遅れている
・企業にとっては維持・発展の原動力であり、金融機関にとっては主たる返済財源でもある
・利益だけでなく資金繰りにも注目
⇒「利益+減価償却費」で計算されるキャッシュフローが返済財源として重要
知りたいポイント
・赤字の場合は、その理由と今後の方針
⇒経営者としてのお考えを聞かせていただきたい
⇒今後の見通しで見直し・改善が可能かどうか。改善計画については、後日機会を設けて説明します。
3.自己資本
着眼点
・自己資本の充実度でも規模間格差がある。
・小規模企業の場合は、経営者の個人資産・負債と合算して検討することが一般的
・債務超過でも、資金を調達(借入)できれば企業は持続可能
⇒借入金に注目する理由
・実質、自己資本(決算書上の自己資本に非資産性、非負債性要素を加除したもの)が大幅な債務超過の場合は、要注意
知りたいポイント
・経営者の個人資産・負債
・債務超過の場合、なぜ営業・存続ができたのか?
4.借入金
着眼点
・継続的に借入できるあいだは、企業は持続可能
⇒今後も継続的に借入可能かに着目
・借入金の総額が過大ではないか
⇒返済しなければならない借入金を把握
⇒借入金が過大かどうかを判断する尺度
- 借入金回転期間
- 債務償還年数
知りたいポイント
・借入金残高の内訳・明細(借入先、借入時期、借入期間、返済条件など)
⇒メインバンクはどこか
⇒「返済金>返済財源」ならば、継続的に融資を受けないと資金繰りが破断する。
・売上道用、試算表未作成でも決算後の借入状況を把握したい
5.貸付金・仮払金
着眼点
・費用計上のない資金の支出であり、実質的な損益あるいは自己資産が悪化していつことはないか。
・貸借対照表上に雑勘定(とくに代表者向けの貸付金・仮払金)がある場合は要チェック
知りたいポイント
・支出の相手方・時期・理由、将来的な解消見通し
6.その他
着眼点
・一期前あるいは2期前との比較及び決算後の動きに注目(全勘定科目)
・良い報告に向かっているのか。悪い方向に向かっているのか。
・P/Lの変化とB/Sの変化に整合性がるか
⇒例示、売上が減り続けているのに、売掛金や在庫が増えている
・経営収支比率が3期連続で100%を切り、直前期が80%を切る状況では、資金繰りがひっぱくしていると考えられるので要注意
・売掛金、棚卸資産、買掛金の回転率が著しく増減している場合は要注意