コラム
借入・世代交代のケース(借入を引き継がないケース)
『質問』
会社の経営者であった夫が亡くなった。自宅を残してくれたが、自宅の価値以上の銀行への借金も残ってしまった。
成人している子供が2人いるが、銀行の借金は妻の私と子供2人でどのように返済するのか?
『答』
夫が、会社の銀行借り入れの銀行の連帯保証人であるとすると、法律的には法定相続分通り引継ぐ必要がある。
この場合は妻が1/2、子供2人が1/4ずつ(合計1/2)銀行の借金を引き継ぐ。
おおよそ、以下の2つのケースが考えられる。
【1】銀行がプロパーで会社に貸し付けている場合
【2】銀行からの借入金を保証協会が債務保証をしている場合
それぞれの場合で対応の仕方は異なる。
【1】の場合
(1)被相続人である夫の資産を負債と比較して相続放棄の可能性を探る。
⇒負債が多額の場合には、相続放棄も視野に入れる。
(2)サービサー等に債権譲渡されていないかを確認する。
⇒①債権譲渡されていなければ、相続放棄がないという前提で、相続人が引き継ぐ借金の減額交渉をする。相続人に借金を上回る資産があれば、基本的には全額支払わなければならないが、資産が少なければ調停を申し立てて和解に持っていくことも可能。
⇒②また、債券譲渡されていれば、サービサーとの和解交渉となる。ただし、これは、かなりタフな交渉が必要となる。
【2】の場合
保証協会というのは中小企業支援という立場にある。銀行の貸付債権が保証協会へ移った場合、保証協会は「求償権」を得る。保証協会は、求償権に基づき相続人に法定相続分通りに返済を求める。しかし、この返済請求は銀行やサービサーと異なり、現実的に支払える額が返済額となるケースが多い。
-なお、被相続人や相続人の所有する不動産に担保が付いている場合でも、銀行やサービサーのように売却要請や競売にいくことは基本的にはない。