マンション管理組合の駐車場収入について
前回の記事においてマンション管理組合の収益事業についてお話ししました。
収益事業の中でも駐車場賃貸業を行っているケースが多いと考えられます。
そこで、今回はあえて前回とは別に記事を設けて、駐車場収入について掘り下げて説明いたします。
他の事業に比べてよく見かける最大の理由は、駐車場に空き区画が存在するリスクが高いからです。近年、若者の車離れが深刻で、駐車場を借りるマンション居住者の減少が挙げられます。駐車場の空きは、管理費会計・修繕積立会計などにも影響し、マンション管理組合にとって好ましくありません。
管理組合の駐車場収入への依存割合が大きいほど、空き区画の増加が駐車場収入の減少につながり、管理費の赤字リスクに帰結します。
この管理費の赤字回避のために駐車場を外部の人間に貸出しする(サブリース等)という流れです。
収益事業として採用した際、誰に駐車場を貸しているのか、駐車場の賃貸人の募集状況によって課税関係が異なります。
課税関係の違いは大きく分けて以下の通りです。
1.区分所有者と外部の人を分けずに申し込み順に募集
申し込みが遅れると区分所有者でも駐車場を借りることができない、
区分所有者と外部の人間で価格などが同条件である、といったことがあり得ます。
この場合は、区分所有者と外部の人間を分けずにすべてを収益事業と考えます。
「区分所有者だけに貸している場合発生しない税金が、ここでは区分所有者からの収入にも税金が発生します」
2.区分所有者を優先して外部の人間にも募集
区分所有者を優先し、空きがあった際に外部の人間に募集する方法です。
この場合はあくまで駐車場は区分所有者が使うのが前提のため、外部の人間が借りていても、区分所有者が駐車場の使用を希望すれば、外部の人間の次回契約はありません。(多くのサブリース契約はほとんどこの形です。)
区分所有者と外部の人間は分けて考えられ、「区分所有者からの収入には税金が発生せず、
外部の人間からの収入にのみ税金が発生します」
3.区分所有者のみ使用可能で臨時で外部の人間が使用する
駐車場に空きがある場合で、2-3日外部の人間が使用するような、臨時かつ短期間の場合です。
独立した収益事業には該当しないと考えられ、「区分所有者からの収入にも外部の人間からの収入にも税金が発生しません」
おおむね2のケースが多いですが、収益事業にかかる税金や税理士報酬なども考え、3のケースもあり得ます。
以上の通り、大まかに課税関係の違いを記載しました。
ただ、個別に内容を勘案する必要があるのは他の収益事業と同様です。
お困りの際は遠慮なく弊所に相談いただけると幸いです。