「マンション管理組合は法人格を有するか?」
この問いに対しての回答をする前に、管理組合の目的や管理組合の種類について説明させていただきます。
まず、マンションや団地は戸建てとは異なり、専有部分(直接区分された部分。例としてマンションの各戸)と共有部分(エントランス、廊下、エレベーター、給排水管、電気設備等)に分かれています。
共有部分については区分所有者全員で維持管理していくことが必要であり、この維持管理をしていくための組織として管理組合があります。
また、ひとくちに管理組合といっても、任意組合と法人の2つの組織形態に分かれます。
任意組合とは、マンション管理組合や団地管理組合と呼ばれるものです。
対して法人とは、例えばマンション管理組合法人や団地管理組合法人と呼ばれるものです。
前置きが長くなってしまいましたが、最初の問いに対する回答としては、
「マンション管理組合法人や団地管理組合法人が法人格を有する」です。
任意組合と法人の大きな違いは、法人名で契約の締結や資産・権利の取得を行うことが出来るかどうかです。
デメリットとして法人の登記事項変更によって事務処理の手間と経費発生がありますが、
具体的に法人化をすることによって以下の様なメリットが挙げられます。
1.法律関係の明確化
管理組合が権利義務の主体として明記出来るため、管理関係がシンプルかつ明確になります。通常、マンション管理組合が新築マンションでは、設立されますが、法人設立がされているケースもあります。
2.訴訟等の法的手段の簡易迅速性
管理費滞納、規約違反の差止等、管理組合と住民側のトラブル・衝突に対して、調停や訴訟等の法的措置の実行がよりスムーズになります。
また、訴訟継続中の理事長交代による、訴訟の煩雑化や中断を避けることができます。
3.理事長の負担軽減
前記の法的措置を含めた、理事長が権利義務の主体となって行う行為の精神的負担を軽減することができます。
4.取引の安全と円滑化
法人化により組織としての存在と代表者が法人の登記簿に明確にされますので、工事業者等の第三者が安心して取引を行うことができます。
5.資金調達が容易に
法人格を備えていた方が信用力の点で評価されるため、不動産購入や大規模修繕時の資金調達が比較的容易になります。ただ、外部からの資金調達をしていることは少ないようです。
ここまで管理組合毎の契約や権利、手続き上の違いについて述べさせていただきました。
しかしながら法人税上は、任意組合は「人格のない社団等」、法人は「公益法人等」に分類され、どちらも法人です。
人格のない社団等も公益法人等も、法人格の有無に関わらず、法人税課税の観点からは、同じとなります。
次回はマンション管理組合の収益事業について述べさせていただきます。